住まいBooksⅥ「自然がつくりだす快適のカタチ」

 

もし、ご自身の住んでいる地域が一年中冬のような寒さだったら、
断熱・気密性能をうんと高くして完全に密封された魔法瓶のような住宅をお勧めします。
しかし、私たちの住む日本には四季があります。夏はジメジメ蒸し暑く、冬は外に出るのが億劫になるほど寒い。
その影響を極力なくす、もしくは逆に利用する。そんな家づくりがパッシブデザインです。

 
 

1年を通して快適な暮らしの作り方

 
 

パッシブデザインとは、エアコンなどの機械を使わず、太陽の光、熱、そして風といった「自然エネルギー」をそのまま受動的に利用して、快適な住まいづくりをしようとする設計思想・設計手法のことを言います。分かりやすく言うと、四季に応じて異なる太陽や風の動きを理解して、うまく使うことで、エアコンなどの機械に頼らなくても、「冬暖かく、夏涼しく、風が通って、明るい」暮らしが実現できるのです。

 
 

大切なのは、“うまく使う”ための使い方。
「うちは北欧仕様の断熱材を使っているので、熱をほとんど逃がさず、1日中暖かいですよ」
「うちの遮熱Low-Eガラスは、夏の強烈な日差しも遮断し、オーバーヒートを起こしません」
これではうまく使えているとは言えません。夏に強い分、冬に弱かったり、冬に強い分、夏に弱い、そんな住宅では意味がありません。「冬暖かく、夏涼しく、風が通って、明るい」すべてが揃っていることが、パッシブデザインです。

 
 

自然エネルギーを最大限活用する

具体的にどのように“うまく使う”のかを5つの視点から見ていきます。

 
 
Step1 日射熱を利用して家自体に暖房効果を持たせる

隣家(特に南面)との距離や季節ごとの陽の入り方、建物の向きなどを検証し、その家ごとのパッシブソーラーエリア(日射熱利用暖房エリア)を算出します。その際に、南面の開口部は真南から30°以内であること、パッシブソーラーエリアの床面積に対して30%以上の窓面積が確保されていること、南面の窓ガラスには「日射取得型のLow-E複層ガラス」を採用していることが前提となります。

 
 

そうすることで、冬の寒い日でも、太陽の熱を室内に取り込むことができ、暖房設備に頼りきりにならない心地よい室内温度を保つことができます。

 
 
Step2 適切な断熱計画で取り込んだ熱を逃がさない

せっかく取り込んだ日射熱を逃がさないためには、断熱性能が非常に重要です。もちろん、断熱だけでなく気密や換気計画が備わって初めて快適な暮らしは実現するので、それらを合わせて断熱計画と考えます。
(※断熱・気密・換気の関係性は「家づくりLibrary」をご覧ください。)

 
 

想像してみてください。真冬の早朝に、無断房で室温が15℃を下回らない家ってすごくないですか?だいたい4月上旬の日中の気温と同じなんです。このように、長時間室内を快適に保つためには断熱計画が必要不可欠です。しかし、過度な断熱計画は夏の暑さの原因にもなりますので、地域に応じた適切な断熱計画が求められます。WHALE HOUSEでは、すべての建物でQ値1.9~2.1W/㎡・K(冬の早朝最低室温が15℃レベル)で施工を行ないます。

なぜ、UA値(外皮平均貫流率)ではなくQ値(熱損失係数)なのか?
UA値は断熱と密につながりのある換気計画を考慮していないことや、建物形状によって変わるはずの熱損失量が加味されていないという点で、断熱性能が正しく評価されているとは言えません。ですので、WHALE HOUSEではQ値を断熱性能の目標基準としています。Q値1.9~2.1W/㎡・Kは「ZEH基準(UA値)」をクリアできるレベルです。

 
 
Step3 直射日光を避けて室温上昇を防ぐ

冬には暖房効果を発揮する「日射熱」ですが、夏になると室温を上昇させる原因となります。炎天下の中放置された車内を想像すると一目瞭然です。中でも、南面の開口部は冬の日射熱利用のため熱を取得しやすくなっているので、より対策が必要です。代表的な日よけ部材としては、外付けブラインドやルーバー網戸、すだれなどがあり、少し前に話題となった緑のカーテンも効果的と言えます。

 
 

また、南面以外の窓ガラスは冬の日射熱利用を行わないため、「日射遮蔽型のLow-E複層ガラス」を採用し、日よけ部材もしくは庇や軒を0.4H以上設けることで、日射熱の侵入を極力妨げることが可能となります。

 
 
Step4 風の通り道を作りだす

無風状態でない限り、東西南北どこからかは必ず風が吹きます。その風を意図的に取り込むことで涼感(入れる)と排熱(出す)どちらも行え、室内温度を下げてくれます。自然の風はどこから吹くのか分からないため、各居室ごとに全方位通風となる開口部を設けます。開口部が取れない居室に関しては、ウインドキャッチャーや高窓、吹抜けなどを利用します。

 
 
 
 
Step5 自然の光を室内に取り込む

風を取り込むと同時に、光もしっかり取り込むことができれば、快適性だけでなく省エネにもつながります。日中長く過ごす居室には2面採光を確保できるようにし、厳しい場合でもガラス欄間や中庭を設けることで光を導きます。

 
 
 
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