容積率・建ぺい率とは?知っておきたい戸建てのルール

容積率・建ぺい率とは?知っておきたい戸建てのルール

「容積率」について徹底的に解説

容積率や建ぺい率とは建築基準法によって定められた「その土地に対して、このサイズまでの建物なら建設を許可します」という指標です。

容積率や建ぺい率の制限がなぜ必要なのか?その理由は主に「防火対策」「日当りや風通しの確保」「街の景観維持」の3点。

狭い日本の領土を有益に活用し、安全で住みよい暮らしを担保するためのルールなのです。

容積率とは?

容積率は「敷地面積と、建物の延べ床面積(全てフロアの合計面積)の割合」。2階建てや3階建ての場合は全ての階の床面積を合算します。

建物の高さをコントロールするための基準ですが、なぜ容積率を制限するかというと「防火対策」「日当りや風通しの確保」「街の景観維持」のほか、「地域の人口過密化抑制」のため。例えば2階建て住宅が並んだ地域にいきなり高層マンションが建設されれば、近隣住宅の日当たりや風通しは悪くなり、生活環境が低下してしまいます。また、高層の建物が建てば建つほどそこに住まう人も増加し、電力消費や下水処理、交通渋滞などに影響を及ぼします。

容積率は「道路などの公共施設とのバランスを保つため」「居住環境の保護」のために行政により制限されているのです。

容積率の算出方法

容積率の算出方法は、「延べ床面積÷敷地面積×100」。

例えば敷地面積100平米(㎡)・1階床面積50平米(㎡)・2階床面積25平米(㎡)の容積率は「(50+25)÷100×100=75%」となります。

このように簡単に算出できる容積率ですが、「前面道路制限」というルールがあるので、計算の際には注意が必要です。

容積率の前面道路制限とは?

前面道路制限とは、「敷地に面している道路の幅が12m未満の場合、その幅員に定数(0.4など/地域により異なる)をかけた数字が小さい方が容積率の上限となる」というものです。

例えば、容積率の上限が200%の地域で、その土地が4m道路に接し、定数が0.4の場合の容積率は「4m×0.4×100=160%」となります。

このように、前面に接している道路により容積率の上限が下がる場合があるため、算出時は土地と道路の接触面について確認しましょう。

用途地域ごとの容積率

容積率は行政によって用途地域(用途が定められているエリア)ごとに指定されています。

用途地域の概要と定められた容積率は以下のとおり。

  • 第一種低層住居専用地域→低層住宅専用地域(高さ10m~12m程度)→容積率:50・60・80・100・150・200
  • 第二種低層住居専用地域→低層住宅専用(小さい店舗可)→容積率:50・60・80・100・150・200
  • 第一種中高層住居専用地域→中高層住居専用→容積率:100・150・200・300
  • 第二種中高層住居専用地域→中高層住居専用(店舗、事務所可)→容積率100・150・200・300
  • 第一種住居地域→住宅が中心(小さい店舗可)→容積率200・300・400
  • 第二種住居地域→住宅が中心(大きな店舗、事務所不可)→容積率:200・300・400
  • 準住居地域→道路や自動車関連施設など住居とのバランスを重視→容積率:200.・300・400
  • 商業地域→ほとんどの種類の建物が建設可(大規模工場などは不可)→容積率:200・300・400・500・600・700・800・900・1000
  • 準工業地域→工場が中心(住居、小さい店舗可)→容積率:200・300・400
  • 工業地域→工場が中心→容積率:200・300・400
  • 田園住居地域→農業の利便を重視、低層住宅中心→容積率:50・60・80・100・150・200

ご自身が建設予定の土地の用途地域がどれにあたるのかを知りたい場合は、市役所や区役所の都市計画課で確認ができます。地域によっては、インターネット上に地図で色分けされ公開されている場合もあります。

「建ぺい率」について徹底的に解説

建ぺい率とは?

建ぺい率は「敷地面積に対する建築面積の割合」。容積率同様、建蔽率も建築基準法によって制限がされています。

せっかく家を建てるなら、土地を無駄なくギリギリまで使って広い家を建てたいと考える方もいるかと思いますが、建ぺい率が高い住宅ばかりが密集すると家と家の間が狭まり、災害時には避難経路が塞がれてしまったり、火災の際には隣接した住宅に燃え移ってしまうといったリスクが高まります。さらに、平時であっても密集した住宅街は日当りや風通しが悪くなり、住む人の健康状態に悪影響が出る場合も。

建ぺい率は、このようなリスクや不利益から住民を守るために定められているのです。

建ぺい率の算出方法

建ぺい率の算出方法は「建築面積÷敷地面積×100」です。

算出するのに使う建築面積は、水平投影面積(上から建物を見たときの広さ)。1階と2階の建築面積が違う場合は、広い方の面積を使用して建ぺい率を計算します。

例えば132平米(㎡)の敷地面積に66平米(㎡)の建築面積の建物の建蔽率は「66÷132×100=50%」となります。

用途地域ごとの建ぺい率

用途地域ごとの概要と定められた建ぺい率は以下のとおり。

  • 第一種低層住居専用地域→低層住宅専用地域(高さ10m~12m程度)→建ぺい率:30・40・50・60
  • 第二種低層住居専用地域→低層住宅専用(小さい店舗でも可)→建ぺい率:30・40・50・60
  • 第一種中高層住居専用地域→中高層住居専用→建ぺい率:30・40・50・60
  • 第二種中高層住居専用地域→中高層住居専用(店舗、事務所可)→建ぺい率:30・40・50・60
  • 第一種住居地域→住宅が中心(小さい店舗可)→建ぺい率:60
  • 第二種住居地域→住宅が中心(大きな店舗、事務所不可)→建ぺい率:60
  • 準住居地域→道路や自動車関連施設など住居とのバランスを重視→建ぺい率:60
  • 商業地域→ほとんどの種類の建物が建設可(大規模工場などは不可)→建ぺい率:80
  • 準工業地域→工場が中心(住居、小さい店舗可)→容積率:60
  • 工業地域→工場が中心→容積率:200・300・400
  • 田園住居地域→農業の利便を重視、低層住宅中心→建ぺい率:30・40・50・60

※建蔽率の単位はすべて%
※参照:SUUMO「「建蔽率(建ぺい率)」「容積率」ってなに? 知っておきたい、建物の規制とは」:
https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/chumon/c_knowhow/kenpei_youseki/

建ぺい率を上乗せできる緩和条件

防災地域内の耐火建築物は、建ぺい率の制限が緩和されるという特例的なルールがあります。

防災地域とは「万が一火災が起こっても被害をできるだけ軽く抑えられるよう、建築の素材や方法を制限した地域」のこと。基準をクリアした耐火建築物を防災地域内に建てると、基本的に建ぺい率が10%緩和され、さらに土地が角地で道路が2本接している場合は、建ぺい率のが10%緩和が上乗せされることもあります。

※角地の緩和条件は自治体ごとに異なりますので、お住まいの地域の緩和条件をご確認ください。

容積率と建ぺい率の「緩和規定」とは?

容積率と建ぺい率、両方の基準を満たさないと家を建てることはできません。

ですが、容積率・建ぺい率には不算入できる「緩和規定」がありますので、あらかじめ知っておきましょう。

地下室

地下室は「延べ床面積の3分の1以下なら延べ床面積に不算入」という緩和規定があります。これを上手く活用すれば、2階建てに地下を加えた3階建ての家を建てることが可能。

地下室の容積率緩和の詳細な適用条件については、設計の際に住宅会社に確認しましょう。

バルコニー・ベランダ・庇(ひさし)

バルコニー・ベランダ・庇(ひさし)などの建物の外側に突き出した箇所は、そこが1m以内であれば建築面積に不算入となります。

バルコニーを部屋につながるように設計すれば、部屋を広く感じられますので、上手く活用したいですね。

出窓も建築面積には不算入。ただし「床面から出窓の下端まで30㎝以上の高さがある」「外壁から50㎝以上突き出ていない」「出窓部分の2分の1以上が窓である」といった細かい条件がありますので、注意してください。

ロフトや屋根裏収納

ロフトや屋根裏収納は、それがある階の床面積の2分の1までのサイズであれば建築面積に不算入となります。2分の1のサイズを超えてしまうと建物が1階増えると解釈されるため、注意してください。

屋根裏収納についても、天井高が140㎝までといった制限があります。

吹き抜け

吹き抜けの上の階に向かって抜けている箇所は、上から見ると床が無いと解釈されるため、床面積には不算入となります。

吹抜けで天井が高くなることで、部屋が広く感じられます。地下室がある場合は1階の床の一部を吹き抜けにすると、採光にも有効です。

車庫・ガレージ

車庫やガレージは、その敷地内建築物の各階の床面積の合計の5分の1までは建築面積に不算入となります。

こちらも上手く有効活用することで、敷地を有効活用できるでしょう。

※紹介した緩和規定は自治体によって異なる場合がありますので、細かい条件などは確認を取りながら設計を行うようにしてください。

戸建ての容積率・建ぺい率の注意点

容積率・建ぺい率の制限をオーバーした建物は「違法建築」となり、住宅ローンが組めなくなる可能性があります。

また、容積率と建ぺい率の他にも以下のような建築制限がありますので、設計前に把握しておきましょう。

道路斜線制限

道路斜線制限は、前面道路への日照や風通しを確保し、周囲に圧迫感を与えないよう建物の高さを規制したルールです。

北側斜線制限

北側に隣接する土地の日当たりを考え、南からの日照を確保するために建物の高さを規制したルールです。

日影規制

12月22日の冬至の日を基準として、一定時間以上日影になる土地がないように建物の高さを規制するルールです。

絶対高さ制限

絶対高さ制限は、都市計画により10mまたは、12mと建物の高さを規定したルールです。第一種低層住居専用地域や第二種低層住居専用地域において適用されます。

市街化調整区域

市街化調整区域は都市計画法により定められた区域区分のひとつで、環境保全のため市街地を抑制する区域のことをいいます。

この市街化調整区域には、原則として住宅や商業施設などの建設はできません。

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