構造の種類によって地震に強い家かどうかが変わる?

地震に強い家はどれ?住宅の構造と地震への強さまとめ

木造(W造)

木造(W造)とは、主要な部分に木材が使用されている構造のこと。
地震のエネルギーは家の重さに比例するため、その点でいえば「軽い家の方が地震に強い家である」といえます。木材は鉄などに比べて軽いため、家の重さを軽くすることが可能。建築基準法の新耐震基準をもとに建築された木造住宅なら、震度6~7程度であれば倒壊の可能性はほとんどありません。
さらに耐震性を高めるためには、家を正方形に近いシンプルな形にし、1階部分に壁が多い作りにすると良いでしょう。

鉄骨造(S造)

鉄骨造(S造)とは、軽量鉄骨と重量鉄骨のどちらかを材料を使った構造のこと。コストが安いため一般住宅で使われることが多く、木造に次いで見かけることが多い構造です。
一方、重量鉄骨はコストが高いため一般住宅で使用されることは少なく、おもにマンションやビルで使用されます。
軽量鉄骨も重量鉄骨も、地震に対して粘り強く折れづらいという特徴があります。特に重量鉄骨は軽量鉄骨よりも厚くて重要があるため、住宅の倒壊は防ぐことができるでしょう。ですが、重量がある分、揺れは大きく感じます。

鉄筋コンクリート造(RC造)

鉄筋コンクリート造(RC造)は、柱などに鉄筋を埋め込んだ構造のことで、マンションに多く採用されています。
コンクリートは圧縮する力に強く、鉄筋は引っ張られる力に強い特性があるため、耐久性・耐震性・耐火性に優れています。
デメリットはコンクリートの打ち込みなどの工程が発生するため工期が長くなることと、コストも他の構造に比べて高くなるところです。

鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC造)

鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC造)とは、鉄骨周りを鉄筋とコンクリートで補強している構造のこと。耐久性に優れており、10階以上の高層マンションなどの大規模なビルに多く使用されています。
鉄骨のしなやかさと鉄筋コンクリートの強さを兼ね備えているため優れた耐震性を持っている一方、非常に高額な費用がかかるため、一般の住宅で使用されることはほぼありません。

構造?構法?工法?違いを解説

構造とは

構造とは、建物を支える骨組みを指す用語。一度家を建て始めると簡単に変えることができない最も重要な部分となります。

ラーメン構造

ラーメン構造とは、垂直方向の柱と水平方向で柱をつなぐ梁(はり)で家を支える構造のこと。柱と梁を接合(剛接合)することで強い「枠」を形成しているため、ドイツ語の「Rahmen(枠)」が語源となって「ラーメン構造」と呼ばれるようになりました。
柱と梁の接合(剛接合)で一体化されているので、横揺れの地震が発生した場合には家全体が耐震性を発揮します。

軽量鉄骨構造

軽量鉄骨構造とは、家の柱や梁などの骨組みに軽量の鉄骨を使う構造のこと。
鉄骨を使う構造は鋼材の厚みによって重量・軽量に分けられており、重量鉄骨は鋼材の厚さが6㎜以上、6㎜未満は軽量鉄骨とされています。
建築費が比較的安価なので、アパートや戸建てで使用されること多い構造です。

壁式構造

壁式構造は、柱や梁を使用せずに鉄筋コンクリートの壁で家を支える構造のこと。壁面で家を支えるため地震エネルギーを発散しやすく、耐震性に優れています。
壁の配置が耐震性に大きく影響するため、リノベーションの自由度が下がるという点がデメリットです。

構法とは

構法とは、建物がどのような部材で構成されているのかを表す用語です。

SE構法

SE構法とは、木造の柱と梁を専用のSE金属で接合(剛接合)する構法のこと。地震発生時に構造に問題が生じないのか「構造計算」で数字の裏取りがされているため、高い耐震性を確保できます。
木造で耐震性を高めようとすると、柱と梁に対してつっかえ棒の役割を果たす筋交いが必要となりますが、筋交いがあると開放的な空間を実現できません。SE構法は「SE金属」で強固に結合しているため筋交いが不要となり、木造でも自由度の高い空間設計が可能となります。

工法とは

工法とは、構造(建物の部材構成)をどのように組み立てるかを示した用語。工法名を見れば、その住宅がどのような部材を使い・どのように組み立てられたのかが分かります。

木造軸組工法

木造軸組工法とは、柱に梁を組み合わせてフレーム状の骨組みに、突っ張り棒の役目となる筋交いで補強する工法のこと。フレームに対して筋交いをX字状に入れた「耐力壁」を適切な場所に設置することで、耐震性を高めることができます。
昔から木造建築ではよく使われている伝統的な工法で、神社仏閣や住宅の多くが木軸工法。建築コストが安く将来リフォームしやすいというメリットがありますが、定期的なシロアリ対策が必要なため注意しましょう。

木造枠組壁工法(2×4(ツーバイフォー)工法)

木造枠組壁工法(2×4(ツーバイフォー)工法)とは、約2インチ×約4インチの木材を組んで枠組を作り、その枠組に構造用面材を接合して六面体構造を作る工法のこと。地震の横揺れを壁(面)全体で支えて地震エネルギーを分散させることができるため、耐震性に優れた工法です。壁面で強度を担保しているので、大きな開口部が作れないなど設計の自由度が下がるのがデメリットとなります。

地震に強い家を建てるための2つのポイント

強い地盤の上に立てる

地盤は家を支える礎となるため、地盤の固い土地に家を立てることが大切。どんなに耐震性に優れた家であっても、強固な地盤でなければ地震で倒壊する可能性があります。

土地の地盤の強度は、「地盤調査」で測定できます。
地盤調査は平成12年以降に義務化されており、土地を購入してから建築前に行うのが一般的。土地の購入前に地盤調査を行いたい方もいるかと思いますが、調査の結果、購入を取りやめたとしても調査費用は自己負担となるので注意が必要です。

調査で地盤が弱いことが分かった場合も、地盤改良工事を行うことで地盤を強化できます。
地盤改良工事には、地盤の軟弱な部分が地表から何メートルの深さにあるかによって以下のような種類があります。

表層改良工法

表層改良工法は、地盤の軟弱な部分が地表から2mほどの浅さにある場合に用いられる工法。軟弱な表層部を掘り出し、セメント系の固化材と混ぜることで強度を高めます。費用は床面積20坪あたり20万円程度となっています。

柱状改良工法

柱状改良工法は、地盤の軟弱な部分が地表から2~8mの場合に用いられる地盤改良の工法。地中に直径60㎝ほどの穴を開けて強固な地盤に達するまで堀った後、穴からセメントを注入。セメントが固まると円柱状の固い地盤を築くことができます。費用は床面積20坪あたり100万円程度。採掘する深さに比例して高くなります。

鋼管杭工法

鋼管杭工法は、軟弱層が厚く、その他の工法では地盤改良が難しい場合に用いられる工法。筒状の小口径行鋼管を強度の高い地盤まで打ち込み、家を支える土台にする仕組みです。深度5mで100万円以上の費用が必要といわれており、地盤調査の中でも高額な工法です。

耐力壁をバランスよく配置する

耐力壁(たいりょくかべ/たいりょくへき)とは、横揺れの地震が発生した際に家にかかる力を吸収してくれる壁を指します。
縦揺れの地震は柱と梁が家を支えてくれますが、横揺れは柱と梁では支えきれません。そのため、建築基準法では地震の力を吸収する役割を果たす耐力壁の設置が義務付けられています。
適切な量とバランスで耐力壁を設置するには、「偏心率(へんしんりつ)」「剛性率(ごうせいりつ)」「直下率(ちょっかりつ)」という指標を用います。

偏心率(へんしんりつ)

偏心率(へんしんりつ)とは、家を平面的に見て耐震要素がバランスよく配置されているのかを測る指標。
耐力壁をある方角にだけ多く配置すると耐震要素のバランスが崩れてしまうため、偏心率を鑑みて東西南北のバランスを取りつつ耐力壁を設置する必要があります。

剛性率(ごうせいりつ)

剛性率(ごうせいりつ)とは、高さ方向の立体的なバランスを測る指標。
家の各階の高さが等しいと剛性率も一致しているため均等に揺れますが、吹抜を作るなど一部突出して高くすると上下のバランスが崩れて高い階だけが剛性率が小さくなり、被害が大きくなる恐れも。一部だけ高さを変える場合には、強度の高い柱に変更する等の対策が必要になります。

直下率(ちょっかりつ)

直下率(ちょっかりつ)とは、上の階と下の階の柱と壁がどの程度揃っているのか(つながっているのか)の割合のこと。上の階と下の階の柱や壁の位置が揃っていると建物のバランスが良くなり、で耐震力が高まります。

家の耐震性を測る目安?耐震等級とは

耐震等級による違い

耐震等級とは、地震に対しての家の強度を表した基準のこと。「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づいて制定された「住宅性能表示制度」でその基準が示されています。
耐震等級は3段階に分かれており、等級が高いほど地震に強い家であるといえます。

耐震等級1

耐震等級1は、建築基準法で定められた最低限の耐震性能を満たしていることを示すもの。震度5レベルの地震であれば住宅が損傷しない程度とされています。震度6から7レベルの地震が起きた場合も倒壊や崩壊しないとされていますが、損傷を受ける可能性は否定できません。

耐震等級2

耐震等級2は、耐震等級1の1.25倍の耐震強度があることを示すもの。病院や災害時の避難場所に指定される学校などの公共施設は耐震等級2以上の強度を持つよう定められています。

耐震等級3

耐震等級3は、耐震等級1の1.5倍の耐震強度があることを示すもの。消防署や警察署などの災害時にも稼働が必要な拠点は耐震等級3が必要となっており、「長期優良住宅(長期にわたり良好な状態で使用するための措置講じられた優良な住宅で、認定を受けた場合は税制優遇や住宅ローンの金利引き下げ等の優遇措置がある)」の認定条件でもあります(2022年10月1日から、木造住宅の壁量計算による耐震等級については「3」となりました)。

※参照:
e-gov法令検索「住宅の品質確保の促進等に関する法律」 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=411AC0000000081
一般社団法人 住宅性能評価・表示協会「地震などに対する強さ(構造の安定)」 https://www.hyoukakyoukai.or.jp/seido/shintiku/05-01.html
国土交通省「長期優良住宅のページ」 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000006.html

耐震だけじゃない!地震への対策方法

地震に強い家を作る対策にはコストが安い「耐震(たいしん)」対策が多く採用されてきましたが、近年は「免震(めんしん)」「制震(せいしん)」と呼ばれる対策がされている建物も増えてきています。

耐震

耐震とは、読んで字のごとく「揺れに耐えられるようにする」こと。骨組みの中に筋交いを入れたり柱や梁などの接合部分を丈夫な金物で固定したりして、揺れへの耐性を強化します。
この揺れへの耐性強化によって全壊や半壊を防止できるわけですが、揺れに対しての柔軟性がないため、倒壊せずとも大きな家具が動いたり引き出しが開いて物が飛びだし散乱したりすることも。家具や引き出しを固定しておくなどの対策が必要です。

免震

免震とは、地中に免震装置を設置して揺れが家に伝わらないようにすること。揺れを低減できるため、家の倒壊を防ぐだけでなく家具の転倒などの二次被害も防止できます。
デメリットは、装置のメンテナンスや設置コストがかかること。また、縦揺れの地震にはあまり効果的ではないといわれています。

制震

制震とは、地震の揺れを抑える(吸収する)こと。壁の中に揺れを吸収する装置を入れておくことで、地震発生時の揺れを低減させる仕組みです。
2階以上の揺れを抑える効果が高いことから高層ビルを中心に採用されてきましたが、最近では戸建住宅でも使われています。

地震に強い構造を持つ、注目の構法とは

地震に強い家の構造とは、以下の3点にまとめられます。

1.固い地盤の上に建てられ、形状は正方形である
家の礎となる地盤は、できるだけ固い土地を選ぶようにしましょう。
地震のエネルギーを発散しやすいため、家の形状は正方形にすると耐震性が高くなります。正方形が難しい場合、できるだけシンプルな形状の家が望ましいでしょう。

2.耐震等級3で建てられている
耐震等級3は、住宅性能表示制度における耐震等級で最も高い等級です。耐震等級1の1.5倍の強度があるため、地震に強い家の1つの基準といえるでしょう。

3.高さが低く、軽量な構造である
建物の高さは低いほど揺れにくく、地震による倒壊の危険性やひび割れのリスクを低減できます。
また、地震のエネルギーは重さに比例するため、軽量な構造であれば地震の揺れをさらに抑えることができるでしょう。

軽い木造かつ耐震等級3の家を建てるホエールハウスとは

中越地震・東日本大震災・熊本地震で倒壊ゼロという実績を持つSE構法。
SE構法は、木造の特徴である柔軟性が高くて軽量な構造を活かしつつ、柱と梁の接合部をSE金属で強度を高めています。そのうえ、設計士による構造計算を全棟に行うことで、数値に裏付けらされた耐震性の高い構造を作り込んでいくため、高い耐震性を保つことができるのです。

SE構法はその接合部の頑健さによって従来よりも柱や梁を減らすことができるため、空間を広々使った開放的な間取りが可能になるのも大きなメリット。「地震に強い家」「デザイン性の高い家」を共に実現できます。

阪神大震災の被災地・兵庫県で唯一、全棟をSE構法で手掛けているホエールハウスでは、耐震等級3の地震に強い家、かつオシャレな家を建てることができます。
「WORKS」ページではSE構法で建てられた数々の施工事例をご紹介していますので、ぜひあなた好みの家を見つけてください。

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