鉄筋コンクリートの家は地震に強い家?弱い家?

鉄筋コンクリート造なら地震に強い家になる?特徴やメリットを解説

鉄筋コンクリート造(RC造)の地震への強さとは

鉄筋コンクリート造(RC造)とは、鉄筋で作られた骨組みの周りに型枠を作り、その中にコンクリートを流し込んで作られる建築構造のこと。主にビルなどの大きな建築物を建てる際に用いられていますが、近年では優れた性能や高いデザイン性から住宅建築でも採用されるようになってきています。

鉄筋は引っ張る力に強く、コンクリートは圧縮に強いという特徴があり、地震で横揺れが起きた際は鉄筋の引っ張りに対する耐性が働き、縦揺れが起きた際はコンクリートの圧縮耐性によって建物への負荷を抑えることが可能。鉄筋コンクリート造はこのように高い耐震性を持つ構造なのです。

鉄筋コンクリート造(RC造)のデメリット

<重量が重い>

コンクリートと鉄筋は重量があるため、建築するにはこの重さを支えられる強固な地盤が必要。地盤沈下や液状化現象などのおそれがある軟弱な地盤の地域で鉄筋コンクリート造の建物を建てるには、地盤改良工事が必要となります。

<工期が長くなる>

鉄筋コンクリート造(RC造)はコンクリートを流し込んで固めるという工程を経て建築が進められますが、その作業工程は鉄骨造や木造と比べて複雑なもの。コンクリートが乾く時間も必要なため、工期は長くなります。
2階建て住宅の工期で比べると、木造や鉄骨は3~6ヶ月程度のところ、鉄筋コンクリート造(RC造)は6~8ヶ月程度とされています。

<コストがかかる>

鉄筋とコンクリートは部材そのものが高いということに加え、複雑な工程のための設備や備品が必要。さらに、工期が長く人件費がかかるため建築コストが高くなりがちです。地盤改良工事が必要になれば、そのコストもプラスで必要となります。
国税庁が公表している1平方メートル当たりの構造別の工事費用を見てみると、全国平均で木造が173,000円、鉄骨造が256,000円、鉄筋コンクリート造(RC造)が265,000円となっています。
構造が頑丈なため将来的な取り壊しや増改築の際にも手間がかかり、費用が高くなりがちです。

※参照元:国税庁「地域別・構造別の工事費用表(1㎡当たり)【令和4年分用】」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/saigai/h30/0018008-045/07.htm

鉄筋コンクリート造(RC造)の耐震性以外の特徴

鉄筋コンクリート造の耐震性以外の特徴は以下の通りです。

<耐用年数が長い>

住宅の耐用年数は構造物の仕組みや品質を正常に維持できる「物理的耐用年数」と不動産の減価償却費用を算出するために国が決めた「法定耐用年数」、不動産的価値がなくなるまでの年数である「経済的残存耐用年数」の3種類があります。
このうち法定耐用年数で比較すると、木造・合成樹脂造は22年、木骨モルタル造は20年、軽量鉄骨造は19~27年。対して鉄骨鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は47年と、他の2倍近く長いとされています。

※参照元:国税庁「耐用年数(建物/建物附属設備)」https://www.keisan.nta.go.jp/h30yokuaru/aoiroshinkoku/hitsuyokeihi/genkashokyakuhi/taiyonensutatemono.html

<対火性が高い>

鉄筋コンクリートの構造体自体は燃えないため、火に強い点がメリット。1000℃を超える炎に数時間さらされても強度が下がらず、建物が崩れてしまうこともありません。
火災の被害に遭いにくいため、木造住宅に比べて火災保険の保険料も低く抑えられるメリットもあります。

<断熱性・気密性が高い>

鉄筋コンクリート造は柱と壁が一体化しており、すき間が生じにくく高い気密性を持ちます。空調効率が高まるので、光熱費の節約にも効果的。
コンクリート自体は熱を伝えやすく、温まりやすく冷めにくいという性質があるため断熱性は高くありません。しかし、地震や風などによって揺れにくいので、使用する断熱材の性能劣化を防ぎやすいという強みがあります。

高い気密性には、湿気がこもりやすいというリスクも。コンクリートは吸水性が高く水分をため込みやすい性質があり、その水分が屋内に放出されるため湿気が溜まりやすくなります。
特に新築の建物は施工時にコンクリートを固めるために使用した水分が放出されていくので、湿度が高まりやすいという点に注意しましょう。
高い湿度は結露やカビの発生原因になってしまうことも。換気扇や換気システムを活用したり、洗濯物の部屋干しを控えたりするといった対策が必要です。

<遮音性が高い>

気密性が高いという鉄筋コンクリート造の特徴は、遮音性の高さにもつながっています。すき間が少ないため、外の騒音が入ってきたり屋内から音漏れしたりするのを防ぐことが可能。重量が重いので、音の振動が伝わりにくいのも高い遮音性の理由です。

<汚れが目立ちやすい>

鉄筋コンクリート造は水分を吸収しやすい性質があるため、雨によるシミやカビ・苔などによって外壁が汚れやすいというのが特徴です。また、コンクリートは雨や紫外線によって「中性化(※)」という劣化状態を引き起こすので、日当たりのいい場所も経年劣化を起こしやすくなります。
汚れ・劣化を防ぐためには、外壁材や外壁塗装のメンテナンスが重要です。

※中性化:アルカリ性であるコンクリートが、雨や紫外線の影響でアルカリ性を失っていくこと。中性化が進むと剥落やひび割れなどの原因になる。

鉄筋コンクリート造と鉄骨造・木造、地震に強い家はどれ?

家の構造はRC造(鉄筋コンクリート造)以外に鉄骨造と木造があります。鉄骨造と木造の耐震面でのメリット・デメリットも見ていきましょう。

鉄骨造の家の地震への強さ

鉄骨造は柱や梁に鉄骨を用いた構造。鉄骨は鋼材の厚みによって2種類に分類され、6mm以上の場合を「重量鉄骨造」・6mm未満の場合を「軽量鉄骨造」といいます。
重量鉄骨造はビルやマンションなどの大きな建築物に主に使われ、戸建て住宅やアパートなどの比較的小さな建築物には軽量鉄骨が使われるのが一般的です。

鉄骨造の耐震性の特徴は、鉄や鋼のねばりによって地震に耐え、倒壊しにくい構造であること。鉄骨はあらかじめ工場で生産されるため品質に差がなく、建築物の強さが職人の力量に左右されにくいのもメリットです。
ただし、鉄骨は鉄筋コンクリートと同じく重量があるため、弱い地盤に建てる場合は地盤改良が必要になるのがデメリットです。

<鉄骨造の耐震性以外のメリット>

  • 間取りの選択肢が多い
    鉄骨は強度があるため家を支える柱を少なくすることができ、広い空間を作るといった間取りの自由度が高くなります。
  • 白アリなどの害虫に強い
    金属である鉄骨造はシロアリ被害のリスクを軽減できます。

<鉄骨造の耐震性以外のデメリット>

  • コストがかかる
    重量の問題などで現場での加工が難しく大量生産ができないことから、コストが高くなりがちです
  • 火災などでの高温状態に弱い
    鉄骨は高温にさらされ続けると柔らかくなり自重も重いため、火災発生時に建物全体が倒壊してしまうリスクがあります。建築時に耐火被覆などの対策が必要です。
  • 熱伝導率が高い
    鉄自体の熱伝導率は高く、気温の影響も受けやすくなります。快適な環境にするためには、壁や屋根などに十分な断熱性能を持たせなくてはいけません。

木造の家の地震への強さ

木造とは木材を使った建築構造のこと。国土交通省の「建築着工統計調査報告」によると、令和4年度の新設住宅の約6割が木造で建てられています。

木造の耐震性に関する特徴は、まず建材自体が軽いこと。揺れの影響は建物が重いほど大きくなるため、軽い木造住宅は揺れにくくなります。また木ならではの柔軟性があり、揺れに対する粘り強さも持っている建材です。

※参照元:国土交通省「建築着工統計調査報告(令和4年計)」https://www.mlit.go.jp/report/press/content/kencha22.pdf

<木造の耐震性以外のメリット>

  • コストが安い
    鉄骨造やRC造に比べて木材は費用が安価。短い工期でできるので、人件費も抑えることが可能です。
  • 熱伝導率が低く、断熱性が高い
    木は空気を多く含むため熱の伝導率が低く、断熱性が高まる点が特徴。外気温の影響を受けにくく、1年を通して快適な温度を保ちやすくなります。
  • 調湿効果がある
    木は空気が乾燥していると水分を放出し、湿度が高い時は水分を吸い込むという天然の調湿効果を持っているため、高温多湿の日本の風土と相性の良い建材。結露やカビなども発生しにくくなります。
  • 火災の時に倒壊しづらい
    木は燃えるので、火災発生時に倒壊するイメージがあるかもしれません。しかし木は燃えた時に炭化して原形を留める性質があり、倒壊しづらいとされています。

<木造の耐震性以外のデメリット>

  • 性能や品質にムラが出やすい
    全く同じ木というものは存在しないため、同じ質感や木目で揃えることはほぼ不可能。職人の技術や工法によって仕上がりに差が出てしまう場合もあります。
  • 白アリや腐食に弱い
    木材は白アリに弱く、対策をしておかないと被害を受けてしまう恐れも。定期的なチェックと防虫処理が必須です。
  • 遮音性が低い
    木材は音を通しやすいため遮音性は低め。騒音がある環境に家を建てる場合や楽器を演奏したい・ペットを飼いたいといった時には、しっかりとした防音対策が必要です。

どの構造でも共通する地震に強い家にするポイント

住宅の地震への強さを高める方法には「耐震」「制震」「免震」の3つがあります。

<耐震>

耐震は建物自体を頑丈にすることで地震の揺れに耐える構造で、部材の接合部を金具で補強するなどして建物を強くします。
耐震構造のメリットは建設コストが安い、工期が短い、自由に設計しやすいといった点。デメリットは上の階ほど揺れが大きくなる、家具の転倒などの事故が起こりやすい、繰り返しの揺れに弱いといった点があります。

<制震>

制震は建物内で地震の揺れを吸収する構造で、建物の内部にダンパーなどの制震装置を設けて地震による揺れを小さくします。
制震構造のメリットは建設コストが安く揺れに強い、メンテナンスが容易、台風などによる揺れにも強いといった点。しかし、装置の設置場所や数が効果に影響する、地盤が弱いと効果が弱まといったデメリットがあります。

<免震>

免震は建物と地盤が切り離されている構造のこと。建物と基礎の間に特殊な免震装置を設置し、地震の力を受け流して建物の揺れを少なくします。耐震や制震に比べて大きな地震が発生しても建物が揺れにくいのが特徴です。
免震構造のメリットは揺れが小さく家具が倒れにくい、建物内部の損傷を防止できるといった点。デメリットは横揺れの地震以外では効果を発揮しにくい、コストが高いという点です。

同じ耐震等級なら構造は関係ない?

耐震等級とは、地震に対する建物の強さ(耐震性)を表す指標。「品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)」に基づく住宅性能表示制度によって評価・認定され、1~3の3つのランクに分けられています。

<耐震等級1>

耐震等級1は建築基準法で定められている最低限の耐震性能。「数百年に1度程度発生する地震(震度6~7)に対して倒壊・崩壊しない」「数十年に1度程度発生する地震(震度5強程度)に対して損傷を生じない」強さとされており、日本で家を建てる場合は耐震等級1の性能を持たせることが必須となっています。

<耐震等級2>

耐震等級1の1.25倍の耐震性を備えていると評価されている建物が耐震等級2。体育館や学校、病院などは耐震等級2以上が求められています。

<耐震等級3>

耐震等級1の1.5倍の耐震性を持つのが耐震等級3。耐震等級の中でも最高ランクに位置しており、警察署や消防署、官庁や公共建築物など災害復興の重要な拠点となる建物に求められる耐震性です。

それでは、木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造(RC造)で耐震等級3と認定されている建物があった場合、構造による耐震性の違いはあるのでしょうか?

構造が違っても同じ耐震等級であれば、その耐震性に差はありません。等級が同じであれば地震によって倒壊する危険度は同程度であり、どの構造であっても同じとされています。

地震に強い家にするには「構造」「工法」も大事!

コンクリートや鉄、木といった建材をどうやって家にするのかという構造・工法も地震への強さに影響する要素です。各構造・工法と特徴と地震への強さについて見ていきましょう。

鉄筋コンクリート造(RC造)の構造・工法

<ラーメン構造>

ラーメン構造の”ラーメン”とはドイツ語で「枠」という意味で、柱と梁で骨組みを作りそれらの接合部をしっかりと固定した構造のこと。低層から高層建築物まで幅広く対応できるのが特徴です。
比較的空間を大きくとることができますが、室内に柱や梁による凹凸ができやすいというデメリットもあります。

<壁式構造>

主に鉄筋コンクリート造(RC造)で5階建て以下の中低層住宅に用いられる構造。床・天井・壁4枚で空間を構成します。
室内がスッキリしてデッドスペースが少なく、家具のレイアウトがしやすくなる点がメリットです。しかし、耐力壁と呼ばれる構造壁を設ける必要があり、間取りを変更したい時に制限される可能性も。

ラーメン構造と壁式構造で耐震性を比較すると、ボックスティッシュを積み上げるようなイメージである壁式構造は耐震性が高く、柱と梁を骨格で作るイメージであるラーメン構造は耐震性が低いとされています。しかし、ラーメン構造でも耐震性が足りない部分に耐力壁を入れることで補強が可能です。

鉄骨造の構造・工法

<鉄骨軸組工法(ブレース工法)>

柱と梁、筋交いを用いて建てる工法。鉄骨で作った骨組みの対角線上にブレースという補強材を入れ、ボルトで連結します。鉄の頑丈さがあり、ブレースによって水平にかかる力にも耐えられるようになっています。

<ラーメン構造>

筋交いを使用しない「面で支える」構造のこと。鉄筋コンクリート造と同様、鉄骨造の住宅でも用いられています。

<プレハブ工法>

工場で溶接までを済ませて、建築現場で組み立てていく工法。ラーメン構造の箱型ユニットを組み合わせていくので、高い耐震性があります。

木造の構造・工法

<木造軸組工法(在来工法)>

柱と梁などの軸組と呼ばれる構造材を組み上げていく工法のことで、古くから寺社仏閣などの伝統的な家屋に使われています。間取りの自由度が高く変更や増築も容易なため、家族構成やライフスタイルの変化に対応可能。枠組工法に比べて耐震性は劣ります。

<木造枠組工法(ツーバイフォー工法)>

壁と床を一体型のフレームで箱型に組んでいく工法。角材のサイズが2インチ×4インチであることからツーバイフォー(2×4)工法ともいい、欧米では主流の工法です。建物にかかる力を面で支えるため耐震性に優れていますが、部材が規格化されているので間取りの変更がしにくいというデメリットも。

<SE構法>

SE構法は木造工法にSE金物を用いた構法のことで、木造ラーメン構造ともいいます。接合部にSE金物を用いて断面欠損や柱の引き抜き現象を防ぎ、木の軽さ・柔軟性と鉄の頑丈さを組み合わせた、木と鉄の良いとこ取りな構法です。
木の弱点である品質のばらつきは集成材(強度ごとに分類した木材を張り合わせた特殊木材)を用いることで防ぎ、木造ながら高い耐震性を実現しています。

大きな地震でも倒壊ゼロ。地震に強い家を建てるなら

兵庫県内で唯一「全棟SE構法」を採用しているハウスメーカーが、私たちホエールハウスです。

ホエールハウスがある神戸市では、1995年の阪神・淡路大震災で多くの方が犠牲になり、家屋の倒壊が相次ぎました。
「家族の暮らしと思い出を守る家」そんな家を実現するために、ホエールハウスは地震に強く丈夫で長持ちする家づくりができるSE構法を全棟に採用することにしました。
数ある工法の中でもSE構法を採用した理由は、2階建て以下の木造では行われていなかった構造計算をすべての建築物に対して行っているという点。つまり、木造でもいかに地震に強い家かを根拠を持って示せる構法がSE構法なのです。

実際にSE構法は最高ランクの耐震等級3を取得できる強さを持っています。中越地震・東日本大震災・熊本地震では、SE構法で建てられた家の倒壊はゼロ※でした。

大きな地震でも家族をしっかり守ってくれる「地震に強い家」を建てたいと考えている方は、ぜひホエールハウスにご相談ください。

※参照:株式会社エヌシーエヌ「耐震構法SE構法」https://www.ncn-se.co.jp/se/se_summary/quake/

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