戸建てとは?その意味とメリット・デメリットをおさらい

戸建てとは?その意味とメリット・デメリットをおさらい

戸建て(一戸建て)とはどういう建物?

戸建てとは「一戸建て」ともいわれ、一般的には「一戸ごとに独立した状態で建つ住宅」を指します。法的な定義はされていませんが、集合住宅と区別するために用いられる建築・住宅用語で、原則として1つの戸建てに一世帯のみが暮らしていると定義されています。

戸建てと似た用語として「一軒家」がありますが、これは厳密には「郊外などの周辺に家がない場所に一軒だけ建っている独立した家屋」を指します。

戸建てとは異なり一戸に住まう世帯数が複数である場合も一軒家と呼びますが、二世帯住宅のことも戸建てと呼ぶことがありますから、戸建てと一軒家はほとんど同じ用語として用いられていると解釈してよいでしょう。

集合住宅と戸建のちがい

集合住宅とは、マンション・アパート・長屋の総称で、一棟の建物の中に複数の住戸が集まっている住宅を指します。水平あるいは垂直方向に連続して住宅が連なり、階や住戸ごとに別々の世帯が住んでいる共同住宅のことで、賃貸住宅として貸し出されるほか、分譲住宅として販売もされています。

戸建とのちがいは様々ありますが、まずは費用が安いことが多い点が挙げられます。ただし、東京都内など地価が高騰しマンションニーズが高いエリアでは、地方に戸建てを建てるよりも高額となることも多いでしょう。

そのほか、エントランスや階段・エレベーター、廊下といった戸建てにはない共用スペースがあるのも集合住宅の特徴。集合住宅の居住スペースは専有区分といわれ、共有区分とは明確に区別がされています。掃除やメンテナンスなど共用スペースの手入れは管理会社が行うため戸建ての管理よりも楽な面がありますが、その分管理費や修繕積立費が掛かります。

また、集合住宅のスペックによってはオートロックや監視カメラといったセキュリティが充実しており、防犯面で戸建てより安全性が高いケースもあります。

集合住宅で注意したいのが、騒音や近隣トラブル。複数の世帯が同じ棟内に居住するスタイルなので、隣室の話し声や生活音、足音などが気になってしまったり、共有スペースに私物を置かれるといった問題が発生することもあります。

駅近や街の利便性、費用を重視する場合は集合住宅がおすすめ。プライベートな空間や自由度を重視するなら戸建てがおすすめといえるでしょう。

知っておきたい、戸建てのメリットとデメリット

戸建てに住むメリットとは?

集合住宅と比べての戸建てのいちばんのメリットは、「独立した住居で自由度の高い暮らしが送れる」ということでしょう。

具体的には以下のような点がメリットとして挙げられます。

  1. 騒音トラブルが起こりにくい

    戸建ては独立した建築物なので、よほど隣家と密接していない限りは室内の音が伝わりにくい状態。お子さんの話す声や泣き声、歩いたり走ったりするときの音のほか、掃除機や洗濯機を使う音、ペットの鳴き声や楽器演奏の音といったご近所トラブルの元ともいえる騒音が聞こえづらいため、リラックスしてお家時間を過ごすことができるでしょう。

    とはいえ、立地条件や暮らし方によっては生活音が騒音になってしまう場合も。戸建てを一から建てる場合、楽器を長時間演奏するといったことが予想されるのであれば、音が響きにくい鉄筋コンクリート造の家を選んだり防音性の高い複層ガラスを取り入れたりという選択肢も検討するのがおすすめです。

  2. 所有する土地が資産となる

    マンションやアパートにも分譲物件はありますが、居住する建物に加えて土地が資産に含まれているというのが戸建ての大きなメリット。立地条件や時期によって変動はするものの、例え建物が経年劣化で価値を失ったとしても土地の資産価値は残ります。

    戸建てに住まなくなった場合も、駐車場にして貸し出すといった住居以外の活用ができるのが、土地を所有する利点といえるでしょう。

  3. 賃貸や共同住宅で掛かる経費が掛からない

    例えば賃貸や分譲マンションの場合、毎月の家賃のほかに管理費や修繕積立金が掛かり、この価格は変動して値上がりすることも多々あります。

    また、車を所有している場合は住居費以外に駐車場代が必要。

    戸建てであれば、管理費や修繕積立費は一切掛かりませんし、駐車スペースを確保した家なら駐車場代も無料になります。

    駐車場については、月極駐車場のある場所までが遠い…といったこともなく、家を出てすぐに乗車できるというのもメリットですね。

  4. デザインや間取りを自由に決められる

    戸建てを一から建てる場合に限られますが、外観から間取り、壁紙や照明といった細かなしつらえまでを自分たち好みにすることができるのも嬉しいメリットです。

    例えば庭にバーベキューができるスペースをとったり、間取りにファミリークローゼットやランドリールームを含めて家事導線を楽にしたりというように、家族の理想のライフスタイルを叶えることができます。

    また、将来的にはリノベーションやリフォームを自由に行うことも可能ですから、増築したり二世帯住宅やバリアフリーにするなど、その時々に合わせた暮らしやすさを叶えながら、住み慣れた土地で暮らし続けることができるでしょう。

戸建てに住むデメリットとは?

メリットが多い戸建ての暮らしですが、少ないながらもデメリットも存在します。あらかじめ知っておきましょう。

  1. 維持管理は自己責任となる

    マンションやアパートであれば共有部分の定期的なクリーニングやメンテナンスは管理会社が行ってくれますが、戸建ての場合はすべてを所有者が行う必要があります。

    外壁や屋根は経年劣化が起こりやすい箇所ですから、一定期間ごとに塗り替えや修繕が必要。また、庭や植木がある場合は剪定などの手入れが必要となります。

    また、シロアリ被害や腐食、破損などの被害が生じた場合にはその修繕費も掛かりますから、毎月一定の管理費や修繕積立費は不要とはいえ、資産価値を下げないためにも備えとして維持管理費を担保しておくようにしましょう。

  2. 空き巣などの防犯リスクがある

    オートロックや24時間の監視カメラなど、マンションによっては当たり前に備わっている防犯設備。戸建てには元からあるわけではありませんから、その分防犯リスクは高いといえます。

    共働きで日中誰も家に居ないことが多い、長期の旅行や出張が頻繁にあるといった場合は、防犯カメラの導入やセキュリティサービスへの加入といった防犯対策を自費で講じる必要があります。

  3. 転居は容易ではない

    戸建ては賃貸住宅とは異なり、住民トラブルや立地条件が合わないといった場合に簡単に転居することができません。売却するにしても賃貸に出すにしても、相手を探し条件がまとまるまでには一定の時間が掛かりますし、転居費用も必要です。

    だからこそ、戸建てを購入するときは後悔のない住まいが手に入るよう、さまざまな条件を吟味しましょう。

戸建てを購入するときに気を付けたい注意点

一戸建ての住宅に憧れる方は多いもの。一生の中でも大きな買い物ですから、購入する際は慎重に検討しなければいけません。
以下に具体的な注意点をまとめました。

立地条件を吟味する

「どこに住むか」は暮らし向きを左右する重要なポイントですから、戸建てを建てる場所は厳選したいものです。

職場や学校などに家族が通いやすい・駅から近いといった立地は需要が高く、えてして価格も高め。とはいえ、あまりに遠すぎると通勤・通学時間が延び、せっかく手に入れたマイホームで過ごす時間が減ってしまうということにもなりかねません。

将来的にその土地を離れる可能性がある場合は、売却を見据えて資産価値が下がらないかどうかも検討材料となります。

また、戸建てを構える場所の近隣状況も加味したいもの。治安の良さや役所・病院・スーパーマーケットといった生活するうえで必要な施設へのアクセス、住民税の額や福祉に関するサービスなども調べておきましょう。

掛かる総額を把握しておく

戸建てを購入する際に掛かるのは、建物と土地代だけではありません。塀や庭などのエクステリア、電気工事や水道工事といったライフラインの工事などの付帯費用のほか、住宅会社のプランごとに含まれる設備と含まれない設備が異なるため、例えばカーテンレール、網戸の設置などがオプション扱いといったケースもあります。

戸建てを建てるのに掛かるすべての費用がいくらになるのかを試算し、ローンの借入額や返済計画をしっかりとたてましょう。

品質チェックは第三者検査の利用を検討してみる

戸建てを建て、住みはじめてから「こんなはずじゃなかった…」と思わぬトラブルや不具合が発覚するのは避けたいもの。

引き渡し前には「点検口(住宅の点検をする際に必要な入口)の位置・水回りの使い勝手(水圧や温度調節に不備が無いか)・換気扇の有無と配置が足りているか(トイレは忘れがちなので注意)・窓の位置と隣家との距離・ドアや窓の強度や開け閉めに不具合が無いか」といった点を丁寧にチェックし、もし不明点や不具合が見られた場合は相談して補修して貰いましょう。

とはいえ、住宅については素人である施主の自己チェックでは不安…という場合は、第三者検査を依頼するのも手。

第三者検査とは専門家が客観的に行う建物の品質検査で、住宅会社によってはプランに含まれていることもあります。主な検査のタイミングは、家の土台を支える基礎工事の完了時・上棟後の構造躯体の完成時・引渡し前の竣工時など。どのタイミングで何回検査が行われるのかは住宅会社やプランによって異なります。

安心して住み続けられる家を手に入れるために、住宅会社を選ぶ際は第三者検査を取り入れているかどうかも検討材料に入れておきましょう。

日本は戸建てが多い?その割合と理由

総務省統計局が5年ごとに調査・発表している「平成30年住宅・土地統計調査」によると、平成30年(2018年)調査時点での日本の住宅の総数は5,361万6,000戸、そのうち一戸建ては2,875万9,000戸と、53.6%が戸建てに住んでいるという結果となっています。

持ち家(分譲マンションなどを含む)の数は3,280万2,000戸となっており、持ち家住宅率は61.2%。つまり、多くの人が「戸建ての持ち家」に住んでいると見ることができます。

※参照:総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査」
https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/pdf/kihon_gaiyou.pdf
https://www.stat.go.jp/data/nihon/21.html

ちなみに、この結果は10年来大きな変動がありません。
面積が狭く、かつ人口が多い日本ですが、なぜこれほどまでに戸建てが好まれるのでしょうか?

歴史的に振り返ると、1950年代初期に「住宅金融公庫法」が公布され、国が設立した金融公庫によって国民にローンを提供して住宅購入を促進させたことから始まり、高度経済成長期に入った1965年には政府が「1家に1戸、1人に1室」を提唱する「住宅建設5か年計画」を推進し、地方住宅供給公社を設立。一戸建てを所有することがスタンダードになりました。

また、日本は面積が狭いながらも住居としての土地利用が偏っており、多くの農村地が手つかずであったことから、次々に戸建てを建てても急速に土地が足りなくなる…ということは無かったのです。
もちろん、東京や大阪など一部の人口集中地域は別で、地価が高騰し、戸建てを建てる土地を確保するのが困難になったため、高層マンションの建築が相次ぎ、それは昨今のタワマンラッシュへと続いています。

とはいえ、国民には「マイホームといえば一戸建て」という固定観念が定着しているうえに、昨今ではコロナ禍によるステイホームやリモートワークの急増で住む場所が自由化してきたことから、改めて一戸建ての需要が高まっているのです。

どんな家を建てる?戸建ての種類と特徴

ひとくちに戸建てといっても、住宅にはさまざまな種類があります。
戸建てはおもに「注文住宅」「規格(企画)住宅」「建売住宅」に分けられ、それぞれ建て方や販売方法が異なるのです。

注文住宅とは

施主がハウスメーカーや建築事務所などに依頼し、一から設計・デザインしたオーダーメイドの家が注文住宅。もともと所有している土地に建てる場合と土地探しから始める場合があり、住宅会社によっては土地探しから依頼をすることが可能です。

自分たちの好みやライフスタイルに合わせ、自由に外観や間取り、設備を選べるのが注文住宅の最大の特徴。ドア一枚からキッチンやバス・トイレまで、施主のこだわりを反映することができます。
自由に設計・デザインができる一方、費用はその分嵩みがち。また、土地探しや設計に時間を要するため、完成までに時間が掛かる傾向があります。
マイホームには自分の好みを細かな点まで反映したいという方や、予算と時間に余裕がある方におすすめです。

規格住宅とは

企画住宅とも呼ばれ、注文住宅の中のセミオーダー住宅と位置づけられることもある規格住宅。住宅会社が組んだプランの中から一定のものを選ぶ形式で、例えば壁紙の色や外壁の種類、間取りなどを決まった範囲から選択することができます。

注文住宅に比べて比較的安価でありながら施主の好みを活かすこともできるという、いわゆるハイブリッドな住宅ですが、すでに土地を所有している場合、その土地と規格住宅のプランが合わず建てられないというケースも稀に発生します。

好みの家をできるだけ安く建てたいという方や、デザインや間取りにある程度はこだわりつつもできるだけ早く家を建てたいという方におすすめといえます。

建売住宅とは

建築済みの家と土地をセットで販売する形式を建売住宅といい、分譲地を分割して販売される場合を指して分譲住宅ということもあります。

土地と家のセット価格となっているため掛かるコストが明確で、さらに注文住宅や規格住宅より安価であることが殆どなので、購入のハードルが低く、資金計画も立てやすいでしょう。
すでに出来上がっている住宅なので、引き渡しまでがスピーディなのも特徴です。

間取りやデザインに細かなこだわりが無く、安く手ごろな家を早く手に入れたいという方におすすめです。

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